ススム | モクジ

● 消えるマキュウ --- 【序】 ●

 古びた建物から飛び出していく影があった。
 それは人形のモモだった。彼女はピンクに統一された服を着込み、藍色の空を切り裂くように飛んでいった。
 モモはやがて、とある家にたどりついた。
 そこには、黒いひらひらの服を着込んだ人形がいた。モモにそっくりの人形。けれど着ている服のせいだろうか、印象がまるで違う。
 黒服の人形は窓を開け、モモを招いた。モモはそこへ座り込む。きーきーと甲高い声でのおしゃべりが始まる。
「まったく、うちの主ったら困っちゃうわ!」
「あら、今度も何かやるの?」
「そうなのよ。召喚が成功したから、『魔王を倒せ』ですって。ハルカちゃんもタイヘンね。他人事ながら、心配しちゃう」
「まったく、はた迷惑よね! よせばいいのに、うちの主もすぐに乗り気になっちゃうんだから。嫌がるフリをするけど、楽しんでるに決まってるわ」
「でも、今度のは面白いらしいわよ! なんでも、ヤキューっていうんですって――」
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